「 春思 」


樋口游穂



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春 思

草色青々として、柳色黄なり。桃花歴乱として李花香し。
東風為に愁を吹き去らず。春日偏に能く恨を惹いて長し。

草の色は青々と、柳の色は黄味を帯び、
桃や李の花の香があたりにただよっている。
春風は一向わが愁を吹去らず、
春日にわが恨をひいて遅々として暮れない。